日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2024年1月12日相手の特性や情報量に合った話をしよう


★わかりにくい話とは?


「どういうことか、今一つよくわかりません」
「結局、何が言いたいの?」

誰にでもこのように言われた経験があると思います。

しかし、言われた時は「何がわからないんだろう?」「どう言えばいいんだろう?」と思ってしまい、自分の話のどこに問題があるのかわからなかったのではないでしょうか。


「話がわからない」と言われてしまう大きな原因の一つに、『抽象的な話をしている』ということがあります。


『話が抽象的』とは、聞いている人が頭の中でイメージできない話のことです。

従って、聞いている人の頭の中にイメージが浮かぶ話は、『具体的な話』なのです。

今回は『抽象的な話』と『具体的な話』について考えてみたいと思います。


★相手の特性に応じた話をする


『抽象と具体』は、仕事上のコミュニケーションでも意識すべきことです。

これについて、細谷功さんの著書「『具体⇄抽象』トレーニング」に興味深い話が書かれていましたので、ご紹介します。


上の図は、仕事を依頼する人(以下、「上司」とします)と依頼される人(以下、「部下」とします)の特性の違いを図にしたものです。

上司が抽象的な指示の仕方をしても、部下が自分で考えて仕事が出来るなら、上司は抽象的な指示で充分で『任せるのがうまい上司』と思ってもらえます。

また、具体的に細かな指示が欲しいと思っている部下に対して、上司が細かな指示を出したときは『面倒見のよい上司』と思ってもらえるでしょう。

これらは何れも上司と部下の認識レベルがあっているので、コミュニケーションはスムーズです。

 

しかし、部下が細かなことまで言ってもらう必要はない、抽象的な指示でよいと思っているのに、上司が具体的にこと細かな指示をしてしまうと、小うるさい上司だと思われてしまいます。(「マイクロマネジメント」)

また、部下が具体的な指示がないと動けないのに、上司が抽象的な指示の仕方しかしないと、部下は「丸投げされた」と不満を持ってしまいます。


★『抽象と具体』のレベル感を意識する


このように、相手の特性に合わせて具体的に言うべきか、抽象的な表現でよいのかが変わってきます。

取引先やメンバーに仕事の依頼をする場合は、相手にきちんと動いてもらわないといけません。

私たちは往々にして自分の言いたいことを自分の特性に合わせた話し方をしてしまい、それが相手に理解される言い方かどうかは意識しないことがよくあります。

その結果、話がきちんと伝わらず、お互いにストレスを感じてしまうのです。

こうした事態を避けるために、相手の『抽象と具体』の特性に応じた話し方を意識すべきなのです。

 

★相手の認識レベルに気を配る


『抽象と具体』という点で、もう一つ気をつけることがあります。

それは、相手の認識レベルです。

その物事について、相手がどこまで知識や情報を有しているか、ということを意識して話し方を変える必要があります。

 

例えば、お客様から我が社の社員のミスにより金銭的な損害を被ったというクレームがあったとします。

その際に、その社員の上司が、その上の責任者に

「お客様から損害を被ったというクレームがありました。本件は全面的に我が社が悪いので、お客様の損害を弁済することにします」

といきなり報告したら、当然のことながら、責任者は「何の話かわからない」という反応になるでしょう。

 

この例は少し極端かも知れませんが、私たちは、自分が知っていることは相手もある程度知っていると思い、詳しいことを省略して話すことがよくあります。

従って、相手がどこまでの情報や知識を持っているか確認しながら話をする必要があります。

私は、相手の認識レベルに合った話をすることはとても大切だと思っています。

前述したように、そのことについて情報がない人に事実などを省略した話をすると「よくわからない」という反応になります。

逆に、そのことについてよく知っている人に事実などを詳しく話すと、「話が長くて要領を得ない」という評価になってしまいます。

ぜひ相手の認識レベルに留意した話をするようにしてください。


★相手を意識した話し方を身につけませんか?


日本話し方センターでは、上で述べた『相手に合わせて話をする』ということを講義や実習の中で折りに触れて伝えています。

実際にどの場面でどのように考えて話すべきか、具体的にご指導しています。

その結果、多くの受講生に相手に伝わる話ができるようになっていただいています。

ぜひ受講をご検討ください!
>横田章剛のブログTOP